2024年2月24日に東京・渋谷のNHKホールで開催されたNHKのど自慢チャンピオン大会2024。13組のチャンピオンの中から優秀賞2組と、栄えあるグランドチャンピオン1組がこの度決定したわけであるが、私は残念ながら抽選に漏れたためNHKホールで生観覧をすることが出来なかったのである。
よって私はその模様を録画し、午後9時頃に帰宅して晩御飯と入浴を終えた後13組のチャンピオンの熱唱をじっくりと拝見させてもらったのであるが、今回選出された13組のチャンピオンもバラエティーに富んでいたので見ていて飽きなかった。また、チャンピオン大会出場者の中には各地区大会では上手かったのに、チャンピオン大会では歌唱レベルが落ちてしまったケースも結構あったが、今回の13組のチャンピオンはそのような様子が無く私も安心して見ることが出来たのである。それでは、今回チャンピオン大会に出場した13組のチャンピオンの詳細と、個人的な見解等について書いていきたいと思う。
●埼玉県羽生市のチャンピオン 根岸つたえさん
島津亜矢の「海ぶし」を歌ってチャンピオンになった65歳のよさこいソーランの先生。チャンピオンになってからは、よさこいソーランを教わっている子供たちから歌のリクエストが殺到するほどである。彼女の歌唱を聴いてみたところ、島津亜矢と異なり軽やかな高音を武器にしていたので気持ちよく感じられたし、冬の海に心地よく響いていくような気がした。
●群馬県みどり市のチャンピオン 小林愛華さん
鬼束ちひろの「月光」を歌ってチャンピオンになった高校3年生で、南米生まれのフィットネスであるズンバに情熱を傾けている。また歌の練習は、母が運転する車の中にて爆音で行うという気合いの入れようである。彼女の歌唱はパワフルで、ニューヨークのゴスペルを連想させる雰囲気が印象的だったので都会的な魅力があり、新宿の高層ビル群や赤坂の夜景、西麻布にもマッチするほどの素晴らしさがあった。そのため私としては、何度聴いても引き込まれる感じがしたのである。
●東京都瑞穂町のチャンピオン 村上彩人さん
井上芳雄の「僕こそ音楽」を歌ってチャンピオンになった大学3年生で、将来はアナウンサーを目指しているためかイベントでの司会も経験しており、尚且つのど自慢の司会者である廣瀬智美アナウンサーにライバル宣言までしたほどである。聴いてみたところ、スケールと説得力に満ち溢れた歌唱だったのであるが、槇原敬之の歌声を彷彿とさせる優しい雰囲気も印象的だった。
●石川県加賀市のチャンピオン 藤堂夏己さん
優里の「レオ」を歌ってチャンピオンになった中学3年生。末っ子であっただけに、歌だけは兄や姉に負けたくないという気持ちが人一倍強い少年だった。彼の持ち前である軽やかで優しい歌声が、地震で被災した北陸の人達を大いに元気づけてくれたのではないだろうか。
●秋田県大仙市のチャンピオン 須田福児さん
藤山一郎の「長崎の鐘」を歌ってチャンピオンになった81歳。彼の元気の源は、サークルで仲間に歌を教えることにある。ちなみに彼が歌った「長崎の鐘」は、今は亡き母が大切にしていた歌だった。のど自慢チャンピオン大会2024の出場者の中では最年長だが、活き活きとした哀愁感のある歌声が魅力的だったのである。そのため、聴いているだけで長崎の景色が目に浮かんだ。
●京都府舞鶴市のチャンピオン 山本あかねさん
中島みゆきの「地上の星」を歌ってチャンピオンになった29歳の女性警察官。地元では歌う警察官として有名で、朝礼でも歌うほどである。彼女の歌声は哀愁感があってパワフルなので、オーロラが見える夜の丘にも響き渡るほどの魅力があるのだが、中島みゆきの歌い方に似ているのが難点である。とはいえ、京都府舞鶴市大会の時に比べれば良くなった。
●山口県下関市のチャンピオン 西原慶さん
松本梨香の「めざせポケモンマスター」を歌ってチャンピオンになった電気工事士。ポルノグラフィティのヴォーカル・岡野昭仁を彷彿とさせるパワフルな歌唱と、元気いっぱいのキャラクターが大変印象的だったので、私も彼を防府の岡野昭仁と命名しても良い気がした。彼の歌声は都会的な魅力もあるので、NHKホール周辺の夜の渋谷の街や新宿副都心へも心地よく響いていったのではないだろうか。
●沖縄県宮古島市のチャンピオン 白井明日香さん&儀保孝幸さん
成底ゆう子の「ダイナミック琉球」を歌ってチャンピオンになった大学のカップルコンビ。白井さんの伸びやかな癒しの歌声と、儀保さんのエイサーをアレンジした個性的なダンスがベストマッチで素晴らしかった。おまけに白井さんと儀保さんは裸足で熱唱していたため、2007年のチャンピオン大会で一青窈の「もらい泣き」を熱唱した岐阜県多治見市のチャンピオン(優秀賞受賞。)を彷彿とさせるパフォーマンスだったのである。白井さんのヴォーカルと、儀保さんのエイサーを彷彿とさせるダンスはNHKホールに沖縄の風を吹かせたに違いない。
●奈良県上牧町のチャンピオン 安藤未来さん
手嶌葵の「明日への手紙」を歌ってチャンピオンになった中学3年生で、プロの歌手を目指している。ちなみに彼女は、西川貴教が司会を務めたこどものど自慢にも出場経験があり、プロの歌手から褒められたことでプロ歌手へ向けての思いが強くなったとのことである。奈良県上牧町大会では黒のパンツ系の服装だったが、チャンピオン大会では白い清楚系のワンピースで熱唱していた。彼女は優しい感じで癒される歌声であったが、バラードを歌うMISIAに近い感じがしたのである。
●愛媛県四国中央市のチャンピオン 西山絵美子さん
絢香の「三日月」を歌ってチャンピオンになった22歳の女性で、家族が経営する工場で今治タオルを製作している。入退院を繰り返す祖父にエールを送る目的で出場した彼女は、石嶺聡子やDreams Come Trueの吉田美和を彷彿とさせる歌声が魅力的であるが、髪型は愛媛県四国中央市大会に参加した時のテレビ朝日アナウンサー・弘中綾香の髪型を彷彿とさせるボブカットとは打って変わり、チャンピオン大会では大人っぽい落ち着いた感じの髪型となっていたのである。愛媛県の女性特有の明るさを持った彼女は、入退院を繰り返す祖父へエールを送る目的を兼ねてNHKホールのステージで頑張ってくれたのではないだろうか。
●愛知県春日井市のチャンピオン 竹内文香さん
いきものががりの「風が吹いている」を歌ってチャンピオンになった福島県出身で、結婚後は愛知県春日井市で薬剤師として働く女性。彼女の月に一回の楽しみでもあるスナックでの熱唱ぶりがチャンピオン大会でも紹介されていたが、彼女はいきものががりの「じょいふる」を歌っていたのでいきものががりの楽曲が好きだという気持ちが大いに伝わった。愛知県春日井市大会と今回のチャンピオン大会で「風が吹いている」を歌った彼女のヴォーカルは、平原綾香を彷彿とさせる超越した存在感があるために吉岡聖恵とは違った都会的な魅力があったし、歌い終わりの高音の伸びも故・本田美奈子.の「つばさ」を思わせる心地良さだったのである。そのため彼女は、春日井の平原綾香として「風が吹いている」を夜の東京の街へと大いに響かせることが出来たのではないだろうか。
●長野県佐久市のチャンピオン 手島優子さん
aikoの「瞳」を歌ってチャンピオンになった30歳の女性。現時点で1歳2ヶ月の娘を持つ母親だが、人前で歌うことが好きだった彼女も一時は歌への熱意が薄れていったほどだった。だが、今の娘を授かったのをきっかけに頑張っている自分の姿を娘に見せたいと思い、歌を頑張るようになったわけである。彼女が歌う「瞳」は、aikoと異なり優しさがこもった都会的な雰囲気のある歌声であった。そんな彼女の歌声は、娘を大事にしたいという気持ちが人一倍に強いことの現れから生まれたものであろう。
●岩手県二戸市のチャンピオン 田口忠志さん
五木ひろしの「旅鴉」を歌ってチャンピオンになった64歳の男性で、ダンプトラック運転歴30年というベテランである。ダンクトラップの運転中には大好きな演歌を熱唱している上、自宅でも毎日2時間の演歌の歌い込みをするほどの力の入れようなので、まさに演歌道を真っ直ぐ行きたいように感じられた。彼はのど自慢チャンピオン大会への出場が決まった際、紅白歌合戦が行われたNHKホールで歌えることに喜びをかみしめていたほどである。ちなみに彼が歌う「旅鴉」は、五木ひろしと違って故・冠二郎を彷彿とさせる魅力があった。
私が予想した優秀賞・グランドチャンピオン
●優秀賞
竹内文香さん「風が吹いている」(いきものがかり)
白井明日香さん&儀保孝幸さん「ダイナミック琉球」(成底ゆう子)
●グランドチャンピオン
小林愛華さん「月光」(鬼束ちひろ)
であったが、実際に決まった優秀賞、グランドチャンピオンは下記の通りであった。
●優秀賞
村上彩人さん「僕こそ音楽」(井上芳雄)
須田福児さん「長崎の鐘」(藤山一郎)
●グランドチャンピオン
西山絵美子さん「三日月」(絢香)
「僕こそ音楽」を歌った村上彩人さんは、優秀賞が決まった瞬間に笑顔でガッツポーズを見せ、「長崎の鐘」を歌った須田福児さんはびっくりして開いた口が塞がらないような雰囲気になったが、後に満面の笑みへと変わったのが魅力的だった。須田福児さんんの御年81歳での優秀賞受賞は、史上まれにみる展開だったのではないだろうか。
そして「三日月」を歌った西山絵美子さんはグランドチャンピオンが決まった瞬間、嬉し涙で泣き崩れたのが感動的だった。ゲストの郷ひろみからチャンピオントロフィーを受け取った時や、廣瀬智美アナウンサーからインタビューを受けた際も終始涙顔だったのである。グランドチャンピオンに決まった後の2回目の歌唱でも、涙をこらえながら一生懸命歌っていたのが魅力的だった。ちなみに「三日月」でのグランドチャンピオンは、2009年3月の2008年度NHKのど自慢チャンピオン大会以来15年ぶりのこととなった。
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